小人舎が発行する絵本WEBマガジン[コビマグ]

小人くんの千夜百五十冊

第4回 「ちょろりんのすてきなセーター」

親子でお金のことを考える

ちょろりんのすてきなセーター

子供の金銭教育。どこの家庭であっても、必ず向き合わなければならないテーマであるかと思う。しかし、満足に取り組めている家庭がどれだけあるのだろうか。よくよく考えてみれば、親自身がちゃんとした金銭教育を受けてこなかったし、今現在も、ちゃんとした金銭感覚が培われているのか疑問かもしれない。

私は以前、ファイナンシャル・プランナーの仕事をしていた際に、お子さんの金銭教育について相談を受けたことがある。家庭によって教育に対する考え方は多種多様であり、十把一絡げに論ずることはできない。ただ、現代日本人の多くが、現在の資本主義や金銭至上主義的な風潮に違和感を覚えているのではないだろうか。
その違和感こそが、子供に対して、自信を持って金銭教育に取り組むことができない原因の一つであるように思う。中には、市場経済を崇拝し、資本主義の恩恵を最大限享受できるよう教育したり、お金のことを考えるのは卑しいことである、と教育したりする家庭もあることだろう。

しかし、そのいずれも子供の将来にとって、有意義な教えではないように思う。大切なことは「人にとって大切なモノは何か」「なぜ、社会にはお金という存在があるのか」「それをどのように活かしていけばいいのか」等々、自身の頭で考え、本質を掴んでいくことであろう。

この本を魅力的に感じた所以は、欲しい物を手に入れるためには「自らが汗を流して働かなければならない」こと。そして、人との関係は、お金だけではなく「何かのために頑張る健気な姿」や「願いが叶わず、涙する姿」に心打たれて、何かをしてあげたくなる、願いを叶えてあげたくなる、といった人の心を映し出しているところである。

すてきなセーターが欲しくてたまらない、ちょろりん。その夢を叶えるために、自分の仕事を手伝わせるじいちゃん。欲しかったセーターが「とかげ用」ではなく「へび用」で悲しむ、ちょろりんのために・・・頑張ってくれる、びきびきおばさん。
個人的には、一見、無愛想で偏屈なイメージがある「びきびきおばさん」が、思いのほか優しい人(蛙!?)だったこと。ここがポイント。
子供が理不尽なおねだりをしてきた時、お小遣いをあげる歳になった時等々。親子でお金のこと、世の中のことを一緒に考えるには、おすすめの一冊。

ちょろりんのすてきなセーター

セーターを買うために悪戦苦闘

〜この絵本のあらすじ〜
寒がりの「ちょろりん」は洋品店で「はらっぱ色のセーター」を見つけました。しかし、貯金箱のお金だけでは足りません。ランプ作りをしている「じいちゃん」の仕事を手伝い、いそいそとセーターを買いに行った「ちょろりん」を待ち受ける悲しい結末とは・・・。はたして「ちょろりん」に大逆転はあるのか!?

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ちょろりんのすてきなセーター

ちょろりんのすてきなセーター

  • 降矢 なな
  • 福音館書店
  • 価格:840円

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