小人舎が発行する絵本WEBマガジン[コビマグ]

小人くんの千夜百五十冊

第6回 「ひとまねこざる」H.A レイ(絵/文)

命題と反省と空腹と。

ひとまねこざる

今回、この定番の作品について書くことには、若干の迷いがあった。個人的に「ベタやろ?」という感が否めないからである。しかし、考えてみれば、人が注目していない作品を選ばなければならない、といったルールはない。実際に今まで書いた作品もそうだ。

とにかく、なぜ今回「ひとまねこざる」なのか、という話である。この作品については多くを語る事ができるが、書くことを決意した決定打は「スパゲッティー」である。作品に忠実にいえば「すぱげってぃー」だ。最近は、何でもかんでも一緒くたに「パスタ」と呼ばれている「すぱげってぃー」のことだ。

ひとまねこざる

問題の「すぱげってぃー」

勿論、先にも書いた通り、おさるの「じょーじ」が様々冒険を繰り広げる作品であるのだから、もっと書くことはできる。だが、ここはあくまでも「すぱげってぃー」で勝負しなければならないのではないか? といった哲学的要素も若干、加味された心情なのである。

果たして、ここで「すぱげってぃー」に拘り過ぎることによって、この書評を読んだ、未来を背負うべき子供達にどのような影響をあたえるのか? といった、ある種の社会的責任にも思いを致さなければならないであろう。
しかし、だ。その重大な責任に目を向けた上で、やはり「すぱげってぃー」で勝負をかけるべきなのではないかと思う。と同時に、絵本を読む多数派であろう年代の少年少女・・・にもならない幼児の諸君に、この漢字が多めの文章が解読できるのか? 親と一緒に読んでいるのではないか? はたまた、大人しか読んでいないのではないか? という現実的な問題に直面しているのも事実である。ただ、もうここまで来ると「すぱげってぃー」でいかざるを得ない既成事実が形成されてしまっているのも事実であろう。

くどい文章になって恐縮だが、最大の問題は、タイトルに書かれている作品名と「すぱげってぃー」の関連性がいまだに見えてこないということである。私は、この「作品名とすぱげってぃーの関連性を証明する」という命題に対してどのように答えればいいのか。ひょっとすると、文章で明確に表現しないことが、一つの解であるのかも知れない。

無責任を承知で言おう。幼少期は、子供心に「じょーじ」の冒険に思いを馳せ、心躍らせていた。しかし、今回この作品を手に取った際、私は空腹であった。大人になった現在、空腹であるという条件下で、この作品の頁を繰ると、いやがおうにも「すぱげってぃー」のシーンが目に留まるのである。そう、レストランで体に巻きつけながら、美味しそうに「つるつる」たべている「すぱげってぃー」である。
この作品については、いつか、別の視点から文章を書かなければならない、という反省を胸に、拙文の締めとさせていただきたい。

ひとまねこざる

決して「すぱげってぃーの絵本」ではない

好奇心旺盛なおさるの「じょーじ」は動物園を抜け出し、街へと繰り出します。レストランで「すぱげってぃー」に舌鼓を打ち、ビルの窓ふきをして働き、いたずらをして追いかけられ、怪我をして。しかし、それくらいなんのその。俳優デビューまで実現してしまうという、パワフルでキュートな「じょーじ」の冒険です。

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ひとまねこざる

ひとまねこざる

  • H.A.レイ (著)
  • 岩波書店
  • 価格:448円

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